2009/3/27
美の壺「蔵」
先日、また夜中の番組に退屈してチャンネルを次々に変えた時、NHK教育で「美の壺」という番組に目が止まりました。蔵の特集でしたので、蔵について何も知らない僕としては興味があり、寝るのを忘れてこの番組を観てしまいましたので、その時に知った浅知恵をご紹介します。
白壁の美しい蔵が建ち並ぶ、蔵の町・岡山県倉敷市。「物資が集積する場所」を意味する「倉敷地」が名前の由来だそうです。商人町として栄えた倉敷では、江戸〜明治にかけて大商家が蔵を次々と建てました。
蔵に見られる「なまこ壁」という壁の独特な幾何学模様。目地の白い漆喰部分の盛り上がりが海にいるなまこを連想させることから名前がつきました。なまこ壁の黒い部分は、平瓦(ひらがわら)という正方形の平らな瓦です。もともとは寺院などの床に敷く平瓦を、壁に並べてはり付け、白い漆喰で固めることでなまこ壁の特徴的な幾何学模様が生まれました。なまこ壁にはさまざまなデザインがあり、各地で職人が腕をふるって独創的な模様が生み出されました。
なまこ壁が生まれた理由は、実は蔵の軒下に隠されています。火事が起きたとき、軒下には熱がこもりやすく、もっとも燃えやすい場所になります。そのため、蔵の軒はできるだけ短くする必要がありました。一方、軒を短くすると、雨が直接当たって壁が傷みやすくなるため、耐水性に優れた瓦をはって、壁を保護しようとしたのです。
一般的な土蔵のイメージは、真っ白に塗り固められた漆喰壁ですが、この「江戸黒」と呼ばれる蔵の黒は「黒漆喰(くろじっくい)」によって重厚な色をまとった黒く輝く蔵です。江戸商人たちの間で大流行しました。
福島県喜多方にあるこちらの蔵の中は、なんとお座敷になっています。冬でも暖かい蔵の中は、寒さの厳しい雪国の人にとって快適な空間なのです。「蔵座敷」と呼ばれ、東北地方に多く残っています。蔵の中は厚い土壁に守られ、温度が一定に保たれるため、昔から日本酒の醸造に利用されてきました。
「蔵」というと、とにかく堅牢なイメージしかなかったのですが(残念ながら僕の身近にはありませんし・・・)、この番組でさまざまな蔵のバリエーションを知りました。黒漆喰と白漆喰、なまこ壁の模様、置屋根に掛子塗り。蔵を立てること自体お金も手間もかかりますが、そのこだわりは、外から見るだけでもけっこう楽しめそうですね。喜多方や倉敷に行ってみたくなりました。